【個人事業主必見】青色申告とは?白色申告との違いや青色申告のやり方を初めての人に解説

税金・節税対策
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個人事業主やフリーランスの人であれば、青色申告という言葉を耳にしたことがあると思います。この記事では、青色申告と白色申告の違いや、青色申告のやり方を初めての人に向けて解説いたします。

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青色申告とは?

日本では納税者が自ら税法に従って、所得金額と税額を正しく計算して納税するという申告納税制度に則って所得税を徴収しています。その際に、一定水準の記帳をし、その帳簿に基づいて正しく納税する人を優遇する制度が青色申告です。(国税庁HPより)

青色申告を出来る人には3パターンあり、不動産所得、事業所得、山林所得のある人です。また、先述の通り、一定水準の記帳をする必要があります。

青色申告に必要な帳簿書類とその保管

青色申告に際しては色々な書類が必要になってきます。ここでは、青色申告をする際に提出が必要な書類と、保管義務のある書類に分けて解説いたします。

青色申告で提出する必要がある書類

まずは、青色申告をする際に提出する必要がある書類について確認します。青色申告をする際に必要なのは、以下の書類です。

  1. 確定申告書B
  2. 青色申告決算書
  3. 各種控除関係の書類
  4. 源泉徴収票(アルバイトなどの給与所得がある場合)
  5. 年間取引報告書(株をやっている場合)
青色申告決算書とは

青色申告決算書とは、日々の帳簿を決算書の形で記入する書類です。青色申告決算書は以下4ページから成り立っています。

  1. 損益計算書
  2. 損益計算書の内訳
  3. 損益計算書の内訳2枚目
  4. 貸借対照表

青色申告に関して保管しておくべき帳簿書類

青色申告に際しては、提出する必要はないものの、最長7年間もの保管が義務づけられている書類も存在します。

保存が必要なもの保存期間
帳簿仕訳帳、総勘定元帳、現金出納帳、売掛帳、買掛帳、経費帳、固定資産台帳など7年
決算関係書類損益計算書、貸借対照表、棚卸表など7年
書類現金預金取引等関係書類領収証、小切手控、預金通帳、借用証など7年
(※)
その他の書類取引に関して作成し、又は受領した上記以外の書類(請求書、見積書、契約書、納品書、送り状など)5年
国税庁HPより

(※)現金預金取引等関係書類ですが、前々年分所得が300万円以下の人は5年で大丈夫です。

青色申告の申告期間

青色申告の書類提出期間は、原則毎年2月16日から3月15日までです。それぞれの日付が土曜日・日曜日・祝日に当たる場合は翌日の月曜日が期限日に設定されます。

青色申告(確定申告)の書類の提出方法

青色申告の書類の提出方法には、3つの方法が存在します。ここでは、青色申告の書類提出の3つの方法について詳しく見ていきます。

税務署に直接提出

青色申告に必要な書類を直接税務署に提出することで申請を行いことが出来ます。直接窓口に青色申告の書類提出をする場合は、窓口の人に確認して貰うことが出来ます。そのため、書類に不備がないか不安な青色申告が初めての初心者にはおすすめです。

しかし、青色申告の期限日近くになると税務署は大変混み合いますので注意が必要です。その場合は、あえて閉館している時間に行って、時間外収受箱を利用するのも一つの手です。

郵送で提出

青色申告に必要な書類を郵送で税務署に送り、青色申告の申請を行うことも出来ます。郵便提出では、期限日の消印が押してあれば期限日内に青色申告の書類が税務署に届いていなくても大丈夫です。

郵送での提出は直接窓口に提出するのに比べると楽ですが、書類の不備をチェックして貰えないのが難点です。青色申告を初めて利用する人は避けるのが賢明です。

e-Taxで申告

ネットを使ってe-Taxで確定申告の書類を提出することも出来ます。青色申告特別控除を利用して最大限の65万円の控除を受けるにはe-Taxを利用する必要があります

10万円の控除により節税効果が期待できる場合も多いため、特に理由がない場合はe-Taxを活用するのがベストです。

青色申告をするのに税理士と契約すべきか?

青色申告を初めて利用する人は税理士と契約してやって貰うべきか悩むと思います。しかし、個人事業主の規模で税理士を雇うのは割に合わないことが多いです。

青色申告はクラウド会計ソフトを使えば簡単にできますし、その支出すら嫌な人は自分で経理の勉強をすればローコストで青色申告を行うことも出来ます。

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青色申告をするべき職業

青色申告をするべき人は、不動産所得、事業所得、山林所得のある人だと先程述べました。ここでは、職業によって青色申告をすべきかどうかについて考えていきます。

副業の収入があるサラリーマンは青色申告をするべきか?

近年、副業が注目を浴びつつありますが、副業での収入があるサラリーマンは青色申告をするべきなのでしょうか? アフィリエイトでの収入があったり、イラストレーターをしていたり、ハンドメイドをメルカリで販売して収入を得ていたり、アルバイト収入のある人もいるでしょう。

fxや株式投資で収入のあるサラリーマン

fxや先物取引、株式投資などで副業収入のあるサラリーマンもいるかと思います。それでは、fxや先物取引、株式投資などの所得は一般的に事業所得として認められるのでしょうか。答えはNOです。

判例:「税務訴訟資料 第261号-28(順号11618)

事業所得の条件
  • 副業でも安定かつ反復した収入があれば「事業所得」
  • 営利性があるかどうか
  • その収入をメインでやっているのか

例えば、本業の医師として多くの収入があるにもかかわらず、副業での収入を節税目的で事業所得として損益通算を行っていた人がいました。

その人は事業所得として認められず、大きなペナルティーが課せられました。脱税のペナルティーは追加徴税といって、本来払うべき税金にプラスして課税させられます。心配な場合は税理士に相談して事業所得として認められるか確認しましょう。

不動産収入のあるサラリーマン

アパートの大家をしていたり賃貸経営をしていて不動産事業を副業で行っているサラリーマンもいると思います。不動産事業を副業とするサラリーマンは青色申告することが可能です。

しかし、1つだけ注意があって最大65万円の青色申告特別控除を受けるためには、賃貸経営が最低「5棟10室」の規模を有する必要があります。アパートの大家をしているサラリーマンは青色申告が出来るので、確定申告をする際に忘れずに行いましょう。

兼業農家のサラリーマン

本業の他に農業を営んでいて兼業農家のサラリーマンは青色申告を利用できるのでしょうか。兼業農家のサラリーマンといえども、複数年にわたって反復して収入を得るのであれば農業での収入は事業所得にすることが出来ます。

個人事業主やフリーランスは青色申告をすべきか?

フリーランスとは、フリーエンジニアやフリーライターのように、プロジェクトごとにクライアントと契約を結ぶ人のことを言います。個人事業主の中にはフリーランスとして働く人もいるというイメージです。

個人事業主やフリーランスでは青色申告をした方が良いです。個人事業主という働き方では、確定申告の義務が生じます。確定申告においては白色申告または青色申告をすることになりますが、白色申告を選ぶメリットは後述の通り少ないです。

ピアノ教室を開いている場合は青色申告をするべきか?

ピアノ教室の規模が小さく、これからも規模拡大をするつもりがない人は白色申告でも大丈夫です。しかし、ピアノ教室の生徒さんが10人以上いて、これからも規模拡大を狙っている場合は青色申告をした方がお得です。

主婦の傍らピアノ教室をやっている方もいるかと思いますが、その収入によっては配偶者の扶養控除を抜けてしまうこともあります。ピアノ教室の規模が大きくなってきたら青色申告するべきです。自分だけでなく、配偶者も損をしてしまいます。

勤務医は青色申告をするべきか?

勤務医として活躍されている方は青色申告をすることが出来るのでしょうか。答えは、原則的に医師が青色申告を利用するのは難しいです。

しかし、不動産所得のある医師であれば例外で、青色申告を利用することが出来ます。医師だと年収2,000万円を超えていて確定申告の義務がある人もいるかと思われますが、残念ながら勤務医の収入を青色申告することは難しいです。

青色申告と白色申告の違いをわかりやすく解説

ここでは、青色申告と白色申告の違いについてわかりやすく解説します。

白色申告青色申告
10万円控除
青色申告
65万円控除
事前申請必要なし・開業届
・青色申告承認申請書
・開業届
・青色申告承認申請書
控除額0円10万円65万円(※e-Tax利用の場合)
専従者給与経費に出来ない経費に出来る経費に出来る
純損失の繰り越し
純損失の繰り戻し
出来ない出来る出来る
減価償却の特例なし(10万円未満)ありあり
記帳方法単式簿記単式簿記複式簿記
確定申告書類・確定申告書B
・収支内訳表
・確定申告書B
・青色申告決算書
・確定申告書B
・青色申告決算書
帳簿簡易帳簿・現金出納表
・固定資産台帳
・買掛帳
・売掛帳
・経費帳
<主要簿>
・仕訳票
・総勘定元帳
<補助簿>
・現金出納表
・経費帳など
白色申告と青色申告の比較

白色申告にせよ青色申告にせよ記帳が義務になりました。そのため、白色申告を選ぶメリットはそれほどなくなってしまいました。青色申告の記帳もクラウド会計ソフトを使えば、初心者でも簡単にできます

青色申告のメリット・デメリット

青色申告のメリット・デメリットについて解説します。上の表について詳しく項目ごとに解説していきたいと思います。

青色申告のメリット

  • 控除の枠が大きく節税効果も
  • 専従者給与を経費として計上可能
  • 純損失の繰り越し・繰り戻しが出来る
  • 減価償却の特例により一括経費計上が可能

青色申告のメリットは主に以上です。青色申告をするには書類の提出や保管が必要ですが、それに見合うだけのメリットが存在します。

青色申告では最大65万円の控除が可能

青色申告最大のメリットだと思います。青色申告をすると、最大65万円の青色申告特別控除を受けることが出来ます。事業の規模が大きいほど、白色申告をするよりもお得に控除を受けることが出来ます。

専従者給与を経費として計上可能

家族で飲食店などを経営されている方もいると思います。その場合、専従者(生計を同一にしている配偶者や15歳以上の親族)への給与を経費として計上することが可能です。家族に対して給与を支払うのであれば、白色申告よりも青色申告の方がメリットがあります。

純損失の繰り越し・繰り戻しが出来る

フリーランスや個人事業主一年目では、経費が大きすぎて赤字になることも多いかと思います。その場合、その赤字を翌年以後3年間繰り越して黒字と相殺することが出来ます。

年間の  
利益・損失額
繰り越しを加味した
利益・損失額  
一年目-1,000,000円-1,000,000円
二年目300,000円-700,000円
三年目900,000円200,000円
純損失の繰り越しの例

例えば、以上のような場合では、一年目は赤字なので当然所得税は発生しません。二年目はその年だけで見れば黒字ですが、前年の赤字を繰り越すと黒字と相殺してもまだ赤字なので所得税は発生しません。3年目にようやく赤字を繰り越しても黒字なので所得税が発生します。

このように、一年目に大きな赤字が予測される場合は、断然青色申告を活用するべきです。利益の損益通算が出来るのは青色申告の大きなメリットです。

減価償却の特例により一括経費計上が可能

白色申告では10万円未満の減価償却資産までしか一括で経費計上することが出来ません。しかし、青色申告では減価償却の特例により、一個30万円未満の少額減価償却資産であれば、一年間に300万円まで一括で経費計上することが可能です。

例えば、1個24万円のパソコンであれば、12個までは減価償却の特例により一括で経費計上出来ますが、13個以上は減価償却に則って計算する必要があります。

青色申告のデメリット

  • 複式簿記の帳簿が必要
  • 青色申告には事前申請が必要
  • 場合によっては青色申告の承認が取り消されることも

青色申告のやり方を初めての人にむけて解説

イラストレーターやハンドメイドをメルカリで販売して事業化したり、アフィリエイト収入を事業化したのはいいものの、青色申告のやり方が初めてでわからない人もいると思います。ここでは、青色申告のやり方を初めての人に向けて解説いたします

  1. 個人事業の開業・廃業届出書の提出
  2. 青色申告承認申請書の提出
  3. 日々の記帳(仕訳帳・総勘定元帳)
  4. 決算処理(貸借対照表・損益計算書)
  5. 確定申告(確定申告書Bと青色申告決算書の提出)

青色申告のやり方は以上の通りです。大まかに説明すると、開業関係の書類提出、日々の記帳、年末の決算処理、3月15日までに確定申告が一連の流れです。

青色申告をするのに事前申請が必要な書類

  1. 個人事業の開業・廃業届出書の提出
  2. 青色申告承認申請書の提出

青色申告をしたいからと言って、いきなり青色申告を行うことは出来ません。青色申告に当たっては事前申請が必要な書類があり、以上の2つがそれにあたります。青色申告をするのが初めての人は忘れがちですので、開業する際には忘れずに準備しましょう。

▶個人事業の開業届

▶青色申告承認申請書の書き方

日々の記帳

青色申告をする際は、日々の記帳が必要になってきます。青色申告では、複式簿記の帳簿が求められます。簿記の知識があれば自分でやることも出来ますが、計算などが煩雑なので一般的にはクラウド会計ソフトを使う人が多いです。

日々の記帳においては、経費として計上したレシートや領収書の管理も求められます。上手な経費レシートの管理方法については以下の記事を参考にしてください。

▶個人事業主の上手な経費計上したレシートの保管方法とは

決算処理

年末になると決算処理を行いますが、その際に必要になってくるのが貸借対照表と損益計算書です。これらの書類は自分で作成することも出来ますが、クラウド会計ソフトを使えば青色申告が初めての人でも一瞬で作成することが出来ます。

確定申告

最後に、確定申告を行えば無事青色申告も終了です。確定申告をする際には、確定申告書Bと青色申告決算書の提出が必要です。

また、確定申告の際には医療費控除や寄附金控除をしている人は、それらの書類を提出しなければなりません。特に、『ふるさと納税』を活用している人は忘れずに準備しましょう。

確定申告に関しては以下の記事を参考にしてください。

確定申告とは?ふるさと納税利用者や個人事業主は確定申告必須です

青色申告に役立つ会計ソフト

青色申告を自分の手だけですることも出来ますが、必要な知識も多いため多くの人はクラウド会計ソフトを利用しています。ここでは、青色申告に役立つおすすめのクラウド会計ソフトをご紹介いたします。

マネーフォワード

  • クラウド会計ソフトのシェア率第二位
  • 自動入力で経理作業の効率化
  • 人工知能(AI)搭載により使えば使うほど便利に
  • 確定申告が初めての人でも安心!充実のサポート体制
  • 1ヶ月の無料トライアルも

マネーフォワードはクラウド会計ソフトでシェア率第二位を誇るなど、多くの人に利用されているサービスです。利用している人が多ければ、トラブルシューティングも簡単なので青色申告が初めての人でも安心です。

マネーフォワードでは自動入力で経理作業の効率化

マネーフォワードでは、銀行やクレジットカードと連携することで、自動入力することが出来ます。そのため、経理作業を効率化することが可能です。面倒くさがりの人にはおすすめの機能です。

マネーフォワードは人工知能(AI)搭載により使えば使うほど便利に

マネーフォワードには人工知能(AI)が搭載されています。そのため、過去の入力から予測して勘定項目などを提案してくれます。使えば使うほど自動入力が使いやすくなり、便利になります。

確定申告が初めての人でも安心!充実のサポート体制

マネーフォワードは青色申告が初めての人でも安心です。メールやチャット、電話などでサポートを受けることが出来るので、青色申告が初めての初心者でも安心して青色申告をすることが出来ます

マネーフォワードは1ヶ月の無料トライアルも

マネーフォワードには1ヶ月の無料トライアル期間が存在します。そのため、その期間に合わないと思えば別のクラウド会計ソフトに乗り換えることも出来ます。マネーフォワードの無料トライアルが終わると料金が発生しますが、以下がマネーフォワードの料金プランです。

   月額   年額
  980円~   9,600円~ 

やよいの青色申告 オンライン

  • クラウド会計ソフトのシェア率第一位
  • やよいの青色オンラインは初年度0円
  • スマート取引取込で作業を効率化
  • ベーシックプランであれば業界最大規模のカスタマーサポート

弥生の青色申告オンラインは、クラウド会計ソフトのシェア率第一位を誇ります。約二人に一人はやよいの青色申告オンラインを利用しているとのことです。

やよいの青色オンラインは初年度0円

やよいの青色申告オンラインはなんと初年度は無料で利用することが出来ます。そのため、1年間試してみて合わなければ他のクラウド会計ソフトに乗り換えることも出来ます。

スマート取引取込で作業を効率化

やよいの青色申告オンラインではスマート取引取込が利用できます。クレジットカードやレシートなどのデータをスマホアプリで撮影することで自動で仕分けをすることが可能です。手間のかかる仕分け作業を効率化できます。

業界最大規模のカスタマーサポート

やよいの青色申告オンラインにはいくつかプランがありますが、ベーシックプランであれば業界最大規模のカスタマーサポートを受けることが出来ます。そのため、青色申告が初めてでやり方がわからない人も、やよいの青色申告オンラインを使えば大丈夫です。

セルフプランベーシックプラントータルプラン
基本機能
操作サポート
(電話・メール・チャット)
×
業務相談
(確定申告・経理業務など)
××
料金8,000円12,000円20,000円
やよいの青色申告オンラインのプラン別料金表

freee

  • 連携サービスから自動でデータ取得
  • 1ヶ月の無料トライアル
  • 安心のサポート体制

freeeは2016人にはシェア率40%以上を記録したクラウド会計ソフトです。freeeもマネーフォワードややよいの青色申告オンラインと同様に、無料トライアル期間が存在します。そのため、他のクラウド会計ソフトなども無料で試した上で選ぶことが出来ます。

freeeは青色申告が初めてでも安心のサポート体制

freeeではサポート体制が万全なので、青色申告が初めてでやり方に不安がある人でも安心です。お客様の問題解決度は98%を超えています。

まとめ

  • 個人事業主やフリーランスは青色申告を活用すべき
  • サラリーマンであっても副業によっては青色申告を利用可能
  • 青色申告が初めてでもクラウド会計ソフトを使えば簡単

個人事業主やフリーランスでは、確定申告の際に白色申告または青色申告をしなければなりません。そのため、帳簿の手間が変わらないので青色申告を活用するのがおすすめです。

青色申告が初めてだと気圧されますが、マネーフォワードややよいの青色申告オンラインなどのクラウド会計ソフトを利用すれば、青色申告が初めての人でも簡単に青色申告が出来ます。

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